抄録
目的:フッ化物は齲蝕予防に広く用いられている。歯へのフッ化物の吸収を促進し,耐酸性を高めるためのより効果的な方法が求められている。本研究の目的は,フッ化物と炭酸ガス(CO2)レーザー照射を併用することで,歯面の耐酸性獲得を促進する効果を検討することである。
方法:矯正治療のために抜歯した小臼歯を用い,各歯のエナメル質表面を4つの領域に区分した。この区分により各群を(i)対照群,(ii)フッ化ナトリウム(NaF)溶液単独塗布群,(iii)CO2レーザー照射単独群,(iv)NaF溶液とCO2レーザー照射の併用群とした。各領域を酸性環境に曝露し,24時間後にエナメル質表面を観察した。
結果:24時間酸性環境に曝露後,対照群,NaF溶液単独塗布群,およびCO2レーザー照射単独塗布群において,エナメル質表面に脱灰による白色の濁りが観察された。対照的に,NaF溶液塗布とCO2レーザー照射を併用した群では,酸性環境への曝露後も白色の濁りは観察されなかった。走査型電子顕微鏡による分析では,NaF溶液塗布とCO2レーザー照射を併用した部位のエナメル質表面は,他の部位よりも滑らかであることが明らかになった。
結論:今回の実験結果は歯面をNaF溶液で処理し,CO2レーザー照射を併用することで,エナメル質の耐酸性を効果的に向上させることができることを示唆している。