ポリグラフ検査では,被検査者の裁決項目(犯人であれば記憶している項目)に対する自律系反応と非裁決項目に対する自律系反応の違いの有無を正確に判定しなければならない。この判定を支援するため,いくつかの統計的判定法が提案されてきた。従来の統計的判定法はデータベース準拠判定法と個人内判定法に分類できる。近年これらの統計的判定法は,自律系反応の個人差を統計的に適切に扱えるように改良された。新たなデータベース準拠判定法として潜在クラス的判定法が,新たな個人内判定法として隠れマルコフ的判定法が提案された。これらの判定法にポリグラフ検査の実験データ(実験参加者34名)を適用したところ,従来の統計的判定法よりも高い判定成績が得られた。今後は,データベース準拠判定法と個人内判定法を融合させた統計的判定法の開発が期待される。