生理心理学と精神生理学
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テクニカルノート
唾液中副腎皮質ホルモン測定における唾液採取法と室温保存の影響
小川 奈美子井澤 修平野村  忍町田 和彦
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2010 年 28 巻 3 号 p. 219-224

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抄録

唾液バイオマーカーの利用は増加しているが,唾液を採取する器具の違いがホルモン濃度に与える影響は十分に検討されていない。本研究ではストローによる採取(Passive Drool),コットンロールによる採取,ポリマーロールによる採取について,コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA),硫酸基結合型DHEA(DHEA-S)の各濃度への影響を調査した。また,検体の室温保存が各ホルモン濃度へ与える影響を検討するために,唾液検体を採取直後に冷凍保存する条件,4日後,9日後に冷凍保存する条件を設け,条件間の濃度の比較もおこなった。参加者は成人男性7 名,女性13 名であった。DHEAでは0日,4日と比べて9日目で濃度が高くなり,DHEA-Sはストローによる採取よりもコットンロールによる採取で濃度が高くなった。唾液を検体として内分泌を測定する場合,これらの影響を考慮しながら研究計画を立てる必要がある。

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© 2010 日本生理心理学会
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