2014 年 32 巻 3 号 p. 149-155
到達運動課題学習中のフィードバック情報処理における加齢効果を,事象関連電位(ERPs)の成分であるフィードバック関連陰性電位(FRN)と前頭部N1を用いて検討した。高齢者20名(平均71歳)と若齢者26名(平均24歳)は,49個(7×7)のボタンの中央に設置された標的ボタンへ到達するよう求められた。すべてのボタンはフィードバック表示板で遮蔽された。標的到達の成功と失敗は視覚フィードバックで知らされた。標的到達の成功率は若齢者より高齢者で低かった。FRN振幅に年齢差はなかったが,高齢者の成功および失敗フィードバックの両方にN1が増大した。このN1の増大は,高齢者が加齢によるフィードバック情報処理能力の低下を補償するためにより強く注意を払ったことを示唆する。