生理心理学と精神生理学
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近赤外線分光法からみた表記法の違いが言語性ワーキングメモリに及ぼす影響
米田 有希勝二 博亮平山 太市尾﨑 久記
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33 巻 (2015) 3 号 p. 193-203

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抄録

日本語表記の異なる文章に対する言語性ワーキングメモリについて近赤外線分光法 (NIRS) を用いて検討した。12名の健常成人を対象にCRT画面上に連続呈示される3つの文章を音読する「Reading課題」,さらに文章内に引かれた下線部の標的語も記憶する「Reading Span Test (RST)課題」を実施した。条件は表記法の違いで4つに分けられた。すなわち,(1)仮名のみで表記された空白部のある文章(Kana-S),(2)漢字仮名交じりで表記された空白部のある文章(Kanji-S),(3)仮名のみで表記された空白部のない文章(Kana-NS),(4)漢字仮名交じりで表記された空白部のない文章(Kanji-NS)であった。左右前頭領域において音読中のOxy-Hb波形はReading課題よりもRST課題で有意に増大していた。RST課題においては,Kana-SおよびKanji-NS条件(馴染みのある表記法)に比べてKana-NSおよびKanji-S条件(馴染みのない表記法)で,標的語の想起中に右背外側前頭皮質においてOxy-Hb波形が有意に増大していた。これらの結果から表記法に馴染みのない文章に対する言語性ワーキングメモリには注意制御がより必要であることが示唆された。

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© 2015 日本生理心理学会
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