2016 年 34 巻 3 号 p. 213-225
本研究はASD児の母親へのタクティールマッサージの効果を,生理的・心理的指標により検証することを目的とした。母親17名に,条件を一定に保った部屋で,同一対象者にタクティールマッサージを実施する[タクティール]と,安静座位を保つ[安静]を20分間,別日に実施した。生理的指標として,唾液コルチゾール濃度,唾液分泌型免疫グロブリンA濃度,心拍変動周波数解析,心理的指標としてSTAIとPOMSを用いた。その結果,生理的指標では,〔タクティール〕〔安静〕間でそれぞれの効果に顕著な違いは見られなかったが,心理的指標では,〔タクティール〕の方が不安の軽減とネガティブな気分の改善に有意に効果があることが明らかになった。