生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
評論
ラットの脳梁膨大後部皮質損傷が空間課題に与える影響
林 朋広 佐藤 暢哉
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 38 巻 1 号 p. 34-47

詳細
抄録

脳梁膨大後部皮質は,脳梁の周囲に位置する頭頂葉内側部の最も尾側の領域である。ヒトにおける脳梁膨大後部皮質はナビゲーションやエピソード記憶など様々な認知機能に関わる領域と考えられている。げっ歯類においては,脳梁膨大後部皮質は空間処理に重要な他の脳領域と神経連絡を有している。これまでに,様々な空間課題を用いて脳梁膨大後部皮質の空間処理における機能が検討されてきた。本論文では,ラットの脳梁膨大後部皮質の損傷研究に焦点を当て,その空間課題における役割をレビューし,その機能について議論する。レビューを通して,脳梁膨大後部皮質が,空間記憶や,環境中心的な手がかりの利用,課題解決に必要な空間手がかりの統合や切り替えに関わることを示唆する。

著者関連情報
© 2020 日本生理心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top