2023 年 41 巻 2 号 p. 141-153
寝たきりで意思表出困難な最重度の重症心身障害者において,発達援助のための感覚刺激呈示や体験活動などの効果が認められることは生理心理学的に検証されている。しかしながら,QOLにおいては,特別な活動イベントの提供だけではなく,家族や友人とのコミュニケーションの常態化が重要といえる。我々は,病棟で生活する最重度の重症心身障害者4例を対象に,短時間の会話によるかかわりの常態化効果について心拍から明らかにした。決まった時間帯に病室を訪問し5分間話しかける試行を,週に3日,2週間実施した。bpmの中央値について,2事例では試行継続による上昇が,2事例では試行継続による低下がみられた。常態化したコミュニケーションが生体リズムに影響した可能性が考えられ,寝たきりの重障者において,短時間であっても日常的にかかわりを行うことの重要性が示唆された。