2025 年 43 巻 1 号 p. 136-149
心理生理学研究では伝統的に,対応のあるt検定や反復測定分散分析を使ってデータを分析してきた。しかし,最近は線形混合モデル(LMM)が柔軟で強力な方法として注目されている。本論文では,心理生理学研究で利用することを念頭においてLMMを紹介する。まず,LMMを従来の統計的アプローチと比較して,その違いと利点を述べる。次に,仮想データを用いて,LMMの構造とパラメータを説明する。最後に,実際の心理生理学研究のデータにLMMを適用する方法を解説する。LMMは,従来の方法ではしばしば看過されてきたランダム効果を考慮することにより,測定したすべてのデータを扱えるため,心理生理学においてより妥当性の高い統計的推論を行うことができると期待される。