1993 年 11 巻 1 号 p. 31-36
本研究は, 定位性の皮膚コンダクタンス反応の生起に関わる認知的構えの効果を検討することを目的とした.皮膚コンダクタンス反応を誘発する刺激として, ハ長調音階のド (C), ミ (E), ソ (G) にあたる音を用いた.28名の女子短大生全員に, まずドの音を1秒間提示, 100ミリ秒の間隔をおいてミの音を1秒間提示する刺激対をハビチュエーション基準に達するまで反復提示し, 引き続いてドとソの刺激対を同じくハビチュエーション基準に達するまで反復提示した.これらの被験者を, 実験終了後の質問の回答によって, 音が音階と符号していることに気づいて音階名をあてはめて聞いていた音階群 (N=13) 音階群と, 音階に気づかずに聞いていた音群 (N=15) とに分けた.その結果, 音階群で刺激対の変化に対して有意に大きな定位性皮膚コソダクタンス反応の生起とハビチュエーションの遅れが認められた.