生理心理学と精神生理学
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聴覚刺激に対する注意の分割と事象関連脳電位
-先行刺激の効果-
鈴木 一弥
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1994 年 12 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

先行する刺激のタイプが事象関連脳電位 (event-related brain potentials ; ERP) の注意関連陰性成分 (Nd波) に及ぼす効果, 特に複数の音源に対する注意の分割に伴うその振幅減少に及ぼす効果を検討した.持続時間100msの純音を繰り返し左右の耳にランダム順にラソダムな間隔 (SOAにして200ms及び600ms) で呈示した.12名の被験者は, 指定された一方の耳 (選択的注意課題), および左右両方の耳 (分割注意課題) に対する標的検出課題を遂行した.注意の分割によって引き起こされるNd波の減衰量を, 先行する刺激の方向の異なる2条件間 (同側および反対側) および先行するSOAが異なる2条件間 (200msおよび600ms) で比較した.その結果, 先行刺激条件問で際立った差異は認められなかった.この結果は, 処理頻度の増大や空間的な注意の移動がNd波の減衰を引き起こす要因ではなく, 空間に対する注意の分割が必要であることを示唆する.

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© 日本生理心理学会
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