生理心理学と精神生理学
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課題の困難度が瞬目活動に及ぼす効果
田中 裕
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1995 年 13 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

Tanaka & Yamaoka (1993) において, 計算課題下においてのみ課題の困難度に対応した瞬目率の増加傾向が報告された.そして, 平仮名を使用した文字検索課題下ではこの傾向は確認されなかった.この両課題はそれぞれ異なった変動要因と情報処理機構を持つと考えられる.そのため, 瞬目活動と課題の困難度に対してどちらの要因が主に影響を及ぼしているかが不明なままである.本研究では, 仮名文字を使用してはいるが, 比較的計算課題に類似していると考えられる記憶文字検索課題を使用して, 瞬目活動と課題の困難度について検討を行った.課題の困難度は三水準を設け, 困難度は記憶させる平仮名のメモリーセットサイズで統制した.その結果, 一番困難度の高い課題と一番容易な課題の間でのみ, 瞬目率に有意な差が確認された.この結果はTanaka&Yamaoka (1993) の計算課題下の結果と同様であり, 瞬目率と課題の困難度の関係には課題の変動要因が影響しないことを示すものであろう.また, 瞬目振幅の変動には覚醒水準の影響が示唆されたが, 瞬目持続時間には変化は確認されなかった.

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© 日本生理心理学会
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