生理心理学と精神生理学
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N400における文脈効果と期待効果
中尾 美月宮谷 真人
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1999 年 17 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

この実験では, 事象関連電位 (ERP) のN400における文脈効果と期待効果を分離して評価した.12名の大学生および大学院生を被験者とし, 標的検出課題を行わせた.被験者には, 継時呈示される単語系列の中から標的単語を検出することを求めた.標的は, 特定のプライム単語 (例えば「ニンジン」) の直後に呈示された特定の単語 (例えば「ヤキュウ」) であった.3条件のプローブ (プライムに続く単語), すなわち, プライムと意味的関連性があるプローブ, 期待された標的と意味的関連性があるプローブ, およびプライムや標的と非関連なプローブに対するERPを比較した.300-700ms潜時帯では, プライム関連プローブおよび標的関連プローブに対するERPは, 非関連プローブよりも陽性であった.これらの陽性シフトは, プライム関連プローブおよび標的関連プローブにおけるN400の減衰によるものと思われる.この結果は, N400が, 単語表象をワーキングメモリ内にある先行の文脈表象に統合する過程を反映していることを示唆している.

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© 日本生理心理学会
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