生理心理学と精神生理学
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EMG feedbackがサッカーのキックパフォーマンスに及ぼす影響
利き脚キック時の僧帽筋活動をfeedback情報として
堀野 博幸山崎 勝男
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2000 年 18 巻 3 号 p. 195-203

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抄録

本研究は, 利き脚キック時におけるEMGフィードバック訓練の効果を調べることを目的とした.実験は, 71名の大学サッカー男子部員を被験者として, インステップキックを用いたシューティングを行わせた.生理測度として, 左僧帽筋部のEMGを記録した.被験者は, 技術水準の高低 (HorL) により2つのグループに分けた後, 各グループ内でさらにフィードバック群 (FH, FL), 非フィードバック群 (NFH, NFL), 統制群 (CH, CL) の3群に群分けした.フィードバック群と非フィードバック群の被験者には, 的を正確にねらうこと (キック課題) と僧帽筋部のEMGを抑制すること (筋制御課題) の2つの課題を同時に行うように教示した.フィードバック群の被験者に対してだけ, 僧帽筋活動に関するフィードバック情報を視覚的に提示した.統制群の被験者には, 筋制御課題は行わせず, キック課題のみを行わせた.実験の結果, フィードバック群では, EMGの抑制と筋知覚の向上がみられた.またフィードバックを与えた技術水準の高い群 (FH) では, キックの正確性の向上とフォームの固定化が認められた.これらの結果は, 注意資源の配分により説明された.また, キック技術の習熟が十分に進んでいる者に対しては, EMGフィードバック訓練を用いて僧帽筋活動を抑制させることにより, キックパフォーマンスを向上させられることが示唆された.

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© 日本生理心理学会
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