生理心理学と精神生理学
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精神生理学的虚偽検出における末梢皮膚血流量
廣田 昭久高澤 則美
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2002 年 20 巻 1 号 p. 49-59

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抄録

本研究では, レーザードップラー血流測定法により計測した末梢皮膚血流量について, 虚偽検出のための新たな指標としての有効性を検討することを目的とした.18名の学部学生は, 貴金属の入った色のついた封筒を「窃取」し, それを隠すようにと教示された.その後, 参加者に対して, 盗んだ封筒の色を尋ねる複数の質問が呈示された.彼らは全ての質問に対して「いいえ」と答えるように求められた.質問呈示後の指尖部の血流量と皮膚コンダクタンス反応 (SCR) 振幅が計測された.裁決質問においても非裁決質問においても, 血流量は一過性に低下することが示された.しかしながら, 血流量は裁決質問時に有意により大きく低下した.その血流量の低下は裁決質問呈示後, 約6-15秒で最も顕著に示された.裁決質問と非裁決質問問でSCRの有意差を示さなかった参加者においても, 血流量では裁決質問での低下が示された.本研究は, レーザードップラー血流測定法により計測された血流量が, 精神生理学的虚偽検出の指標として有効であることを示した.

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© 日本生理心理学会
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