生理心理学と精神生理学
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有罪知識質問法におけるP300振幅の規定因
久保 賢太入戸野 宏宮谷 真人
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2007 年 25 巻 3 号 p. 267-275

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抄録

事象関連電位P300の振幅を規定する要因として, 主観的確率と刺激の意味, 刺激に向けられる注意の量が知られている。本研究では, この3次元モデルに従い, 有罪知識質問法 (guilty knowledge test : GKT) を用いた虚偽検出検査において得られるP300振幅の規定因について検討した。20名の大学生・大学院生が, 単語を用いた視覚3刺激オドボール課題を行った。半数の参加者には模擬窃盗課題を行わせて, 裁決項目 (低頻度で呈示される非標的刺激) に対する有意味性を高めた。残りの半数の参加者には模擬窃盗課題を行わせなかった。裁決項目に対するP300は, 模擬窃盗群でのみ, 非裁決項目 (高頻度で呈示される非標的刺激) に対するP300よりも有意に高振幅であった。この効果は, 視覚オドボール課題と並行して聴覚弁別課題を行う二重課題条件においても失われなかった。GKTにおける裁決項目に対するP300振幅の増大は, 主に裁決項目が持つ有意味性によって生じており, 裁決項目が非裁決項目に比べて低頻度で呈示されるという主観的確率の効果ではないことが示された。また, 課題から注意をそらしても, 裁決項目と非裁決項目のP300振幅の差は認められることが示された。

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© 日本生理心理学会
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