生理心理学と精神生理学
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ワーキングメモリ容量の個人差と視覚3刺激オドボール課題における注意の捕捉の関係
土田 幸男片山 順一室橋 春光
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2008 年 26 巻 3 号 p. 217-228

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抄録

リーディングスパンテストで測定されるワーキングメモリ (WM) 容量の個人差はスパンテスト遂行中の課題非関連情報に対する注意を抑制する注意制御機能が関わっていると考えられている。この注意制御機能が領域固有なのかどうか, 視覚3刺激オドボール課題遂行中の事象関連脳電位 (ERP) を検討した。リーディングスパンテストを用いて52人の大学生・大学院生のWM容量を評価した。実験参加者は標的刺激 (15%) に対して反応をすることと, 非標的刺激 (15%) と標準刺激 (70%) の両方を無視することが要求された。ある条件では同じ幾何学図形が非標的として繰り返し呈示されたが, もう1つの条件では新奇な認識できない視覚刺激が非標的として呈示された。WM容量低群 (n=13) は高群 (n=13) よりも繰り返し呈示された非標的に対して大きな非標的P300振幅を惹起した。このことは, 課題非関連情報によってWM容量低群の方が高群よりも注意が捕捉されたと考えられる。WM容量は言語領域だけでなく, 視覚刺激の処理においても課題非関連情報に対する注意の抑制に依存することが示唆された

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