本研究の目的は, ERPを用いて意味処理が要求されない課題の遂行時にも意味処理がなされているかどうかを検討する事である.12名の被験者が700ms毎にCRT上に呈示される単語を見て, 表記手がかりによって決定される低頻度標的を検出中のERPを記録した.3課題を行わせ, 6リストからなる各課題ではひらがな, カタカナ, 漢字のうちの2つの表記を用いた.1リスト80刺激とし80%をある表記で, 20%を別の表記 (標的) で呈示した.加えて, 被験者には知らせなかったが, 各リストは意味逸脱語を含んでいた.刺激は動物, 植物, 身体部位のいずれかに属しており, 80%はある意味カテゴリに20%は別のカテゴリに属していた.意味逸脱語は高頻度カテゴリ語よりも大きなN400を惹起した.この事から, 課題の遂行には意味処理は必要ないにも関わらず, 何らかの意味処理が行われていた事が示された.