1990 年 8 巻 1 号 p. 9-18
本実験は, ERPを用いた虚偽検出の可能性を探るために計画された.13人の被験者が用いられた.被験者の名前と他者の名前が音刺激でS1として, 光刺激がS2として用いられた.被験者の課題は関連刺激に対する検出妨害である.ERPとCNVは分散分析された.P3bは被験者の名前に対して他者の名前よりも大きく, 一方, N400は他者の名前に大きかった・後期CNV電位は被験者の名前が関連刺激の時に減少した.被験者の名前に対するP3bと他者の名前に対するN400は, 標的刺激を検出するだけでなく, 被験者の名前も検出する.更に, P3bとN400を用いた被験者の名前の検出が可能であれば, 被験者に関与の大きい関連刺激の検出が可能である事が示唆された.加えて, 後期CNVも虚偽検出の指標として使用可能である.