2025 年 4 巻 1 号 p. 31-40
目的:家族のニーズに基づく支援を行うための日本版Family Needs Survey (FNS-J)の有用性を,介護者である母親を中心とした事例経過から考察すること。
事例紹介:対象は2歳時にけいれん重積型二相性急性脳症を呈した8歳女児を介護する母親とその家族である。従来の目標設定ツールに加えてFNS-Jを用いることで,これまで把握できていなかった家族のニーズ(母親の介護負担や睡眠不足,兄の学習障害への対応など)が明らかとなった。多職種カンファレンスを通じて共有された情報をもとに,訪問リハビリテーションの導入や介助方法の検討,兄の学校との連携支援など包括的な支援体制を構築した。
結果:1年後の評価において介護負担感(BIC-11)は18点から16点へ,社会的ケア関連QOL(ASCOT-Carer)は0.542から0.806へ改善が認められた。
結論:子どもだけでなく家族のニーズを捉えることの重要性が示された。家族のニーズから捉えた問題に対して介護負担感やQOLなどの評価を行うことで,家族中心のケアに基づく包括的支援に繋がる可能性がある。