2008 年 52 巻 4 号 p. 578-581
症例の概要 : 患者は62歳の男性で, 下顎左側臼歯部咬合痛による咀嚼障害を主訴に来院した. 主訴改善のため, 歯根破折した⌈5を抜歯した. 治療は, 下顎両側遊離端欠損部にインプラント支持による固定性補綴装置を用いた. 咬合力バランスを確認しながら全顎的にプロビジョナルレストレーションに置き換え, 2002年5月に最終補綴装置へ移行した.
考察 : 咬合力バランスを確認しながら咬合再構築を行ったことが成功した一因と推察する.
結論 : 悪習癖や破折の既往がある場合でも, 注意深く調整を行えば, 咬合支持の回復と残存歯保護の観点から, 両側遊離端欠損に対するインプラント治療は有用であることが示唆された.