日本補綴歯科学会雑誌
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専門医症例報告
上顎左側遊離端欠如, 下顎右側遊離端欠如による臼歯部咬合支持喪失症例
神庭 光司
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2008 年 52 巻 4 号 p. 582-585

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抄録

症例の概要 : 74歳女性. 上顎左側臼歯部の義歯破損と上下顎義歯維持の不良による咀嚼障害を主訴として来院した. 義歯破損の原因はクリアランス不足の状態において, 強度の劣る義歯が装着されていることと診断した. また, 義歯不安定の原因は, 上顎では片側性の設計, 下顎では間接支台装置の破損によるものと診断した. 治療方針は義歯の強度の確保と両側性設計による把持力の発揮においた.
考察 : 両側性の設計にすることで義歯の安定が増し, クリアランスを確保した後に, 上顎義歯を装着することで, 強度の確保もできたと考える.
結論 : 新義歯では咀嚼機能が回復し, また強度的にも経過観察中に大きな義歯の破損は生じていないことから, 妥当性のある補綴処置が行えたと考える.

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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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