日本補綴歯科学会雑誌
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橋義歯ポンティック基底面に付着するプラークの観察
ブラークの性状と粘膜におよぼす影響
嶋倉 道郎
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20 巻 (1976) 3 号 p. 465-481

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抄録

橋義歯ポンティックの基底面が, 顎堤粘膜におよぼす生物学的為害作用のうち, ポンティック基底面に付着するプラークによる細菌学的刺激の影響を調べるため, 実験的に種々の材料と形態のポンティックを有する橋義歯を口腔内に仮着した.一定期間仮着した橋義歯のポンティック基底面に付着するプラークを, 肉眼的および走査型電子顕微鏡によつて観察し, 同時に顎堤粘膜 に現れた反応を対比させ, 次のような知見を得た.
1. 橋義歯ポンティックの基底面には, 材料および形態を問わずプラークの付着が見られ, 完全自浄型ポンティックについても, 基底面におけるプラークの付着状態からみると, 自浄性は従来考えられているほど完全なものではなく, 今後の課題となるものと考えられた.
2. ポンティックの基底面を粘膜に接触させた場台および圧迫した場合, 短期間で基底面に付着するプラークの量は, 陶材およびレジンに比較すると, 白金加金および金銀パラジウム合金の金属類の方が多かった.
3. ポンティックの基底面を粘膜に接触させる場合, 無圧の状態で接触させるよりも, 軽く圧迫を加える方が基底面に付着するプラークの量は少ない傾向を示した.
4. ポンティック基底面が粘膜と接触している場合, そこに付着するプラークの量は, 顎堤粘膜の炎症反応の強さに影響を与えるものと考える.
5. ポンティックの基底面に付着するプラークの内容は使用材料に関係なく, ほとんど球菌, 桿菌および糸状菌の3種類の形態の細菌から成る.
6. ポンティック基底面に付着するプラークの形成機序は, 歯面におけると同様に, 最初糖蛋白と思われる薄膜が付着し, 初期においては球菌および桿菌を主とする細菌の集落が見られ, 日時の経過とともに様々な糸状菌の増殖が見られるようになつた.
7. 肉眼的にポンティッケ基底面に付着したプラーケの量が少ない場合には, 球菌および桿菌が主体を成していて, プラークの付着が多い場合には, 糸状菌が多く認められた.
橋義歯ポンティックの材料と形態については, また解明すべき多くの問題点が残されている.これらの問題を解明するために, 顎堤粘膜の反応についての客観的判定法を考案し, またポンティックの形態については, 今後, 基底面の粘膜に対する接触様式だけでなく, 歯間鼓形空隙の形態, ポンティック頬舌面の豊隆の形態などについても症例数を増やして追究を行い, 臨床に応用していきたいと考える.

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