日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
総義歯の交叉咬合排列が発音に及ぼす影響
語音明瞭度検査による分析
春野 雅俊是枝 美行湯本 光一郎川畑 直嗣長岡 英一
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46 巻 (2002) 3 号 p. 367-376

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抄録

目的: 総義歯の交叉咬合排列の欠点とされている発音機能障害について検討する.
方法: 有歯顎群, 義歯群 (交叉咬合排列群, 正常排列群) について, 単音節 (62子音と5母音) による語音明瞭度検査を行い, 聞き誤った語音について検討した. 被験者別に誤聴率と語音別誤聴率, 各群別に平均誤聴率と平均語音別誤聴率を算出した. また, 各群別に平均語音別誤聴率が平均誤聴率よりも高かった検査語音を抽出し (抽出誤聴語音), 調音点別に分析を行った.
結果: 1. 誤聴率. 1) 交叉咬合排列群, 正常排列群ともに各被験者の誤聴率に有意差を認めた. 2) 義歯群では, 誤聴率と義歯装着期間との間に有意な負の相関を認めた. 3) 有歯顎群, 交叉咬合排列群, 正常排列群の各群の平均誤聴率に有意差を認めなかった. 2. 調音点別の抽出誤聴語音. 1) 歯茎音と声門音において, 交叉咬合排列群のほうが正常排列群よりも平均語音別誤聴率の高かった語音数が多い傾向を示した. 2) 交叉咬合排列群において, 正常排列群に比べ, 歯音, 歯茎音および軟口蓋音は調音点が異なる語音へ誤聴され, 声門音は先行子音が欠落する傾向を示したが, 有意差はなかった.
結論: 語音明瞭度検査結果については, 交叉咬合排列群と正常排列群との間に有意な差は認められなかったが, 義歯群では, 誤聴率と義歯装着期間との間に有意な負の相関を認めたことから, 発音機能障害が慣れにより解消される可能性が示唆された.

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