47 巻 (2003) 2 号 p. 301-310
目的: チタンおよびチタン合金は, 生体適合性に優れ, 補綴材料やインプラント材料としても広く用いられているが, 口腔内に装着された場合, きわめて過酷な腐食環境におかれるものと考えられる. 本実験では, 最近開発されたTi-29 Nb-13 Ta-4.6Zr合金も含め, 各種のチタン材料についての耐食性を評価した.
方法: 実験ではTi, Ti-6 A1-4 V合金およびTi-29 Nb-13 Ta-4.6Zr合金の計3種合金を板状試料とし, 試験溶液には0.9%Na Clおよび0.1mol/l Na F溶液を用いた. 各試験片を3, 7, 14日間浸漬し, 色彩色差計を用いて色差 (ΔE) を求めた. さらに, それらの自然電極電位およびアノード分極曲線を測定した. また, 走査型電子顕微鏡とX線回折装置を用いて, 浸漬前後の試料表面分析を行った.
結果および結論: 0.1mol/l Na F溶液では, Ti-29 Nb-13 Ta-4.6Zr合金の14日間浸漬後の色差は17.7と比較的大きな値を示したが, Tiとの間には有意な差は認められなかった.また, アノード分極曲線に関しては, Ti-29 Nb-13 Ta-4.6 Zr合金の1.5V以上での電流密度の増加はわずかであり, 5Vでの電流密度の増加は3種合金中最も低い値を示した. 以上の結果より, Ti-29 Nb-13 Ta-4.6 Zr合金は, フッ素溶液に対して, 使用可能な耐食性を示すと考えられた.