日本補綴歯科学会雑誌
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急速加熱型リン酸塩系埋没材VELVETY SUPERQUICK®の諸性質
日比野 靖原島 厚山崎 淳史本多 宗暁山賀 谷一郎中嶌 裕
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2003 年 47 巻 3 号 p. 564-573

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抄録

目的: 新たに市販されたクラウン・ブリッジ用急速加熱型リン酸塩系埋没材の専用液濃度を変化させて, 物性への影響について検討を行った.
方法: 材料は新たに市販された急速加熱型リン酸塩系埋没材を加えた計4種類の急速加熱型と, 従来型1種類のリン酸塩系埋没材を使用した. 埋没材の物性として流動性, 硬化時間, 圧縮強さ, 硬化膨張率ならびに加熱膨張率の測定を行った. また, 陶材焼付用金合金を用いた試料の適合度の測定も併せて行った. 専用液濃度は100%と50%の2条件とした.
結果: 新たに市販された急速加熱型リン酸塩系埋没材の流動性は, 今回使用した各リン酸塩系埋没材と比較して有意に大きな値を示し, 硬化時間も有意に長くなる結果を示したが, 専用液濃度の影響は認められなかった. 圧縮強さ, 硬化膨張率ならびに加熱膨張率は各リン酸塩系埋没材と同程度の値を示した. 各リン酸塩系埋没材の硬化膨張率は, 加熱膨張率と比較して専用液濃度の影響が認められた. 陶材焼付用金合金を用いた試料の適合度は, 今回使用した各急速加熱型リン酸塩系埋没材と同程度の値を示した.
結論: 新たに市販されたクラウン・ブリッジ用急速加熱型リン酸塩系埋没材は, 従来の急速加熱型と比較して流動性が良好で, 硬化時間が長いことから, 陶材焼付鋳造冠の作製時の操作性の改善が考えられた.

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