日本補綴歯科学会雑誌
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実験的咬合干渉がc-fos mRNA発現に及ぼすラット脳内ストレス応答の経日変化
小林 琢也虫本 栄子
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2004 年 48 巻 2 号 p. 203-211

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抄録

目的: 本研究では, ラットに付与した実験的咬合干渉が, 惹起する脳内および生体内のストレス応答の経日的変化を明らかにすることを目的とした.
方法: 実験には生後11週齢の雄性Wistarラット72匹を用い, 上顎右側第一臼歯に高さ1.0mmの干渉を付与した干渉群, および対照群を設定した. 観察期日は, 1, 2, 5, 7, 9, 14日で, 各期日ごとに6匹ずつ屠殺した. 分子組織学的観察としてIn situ hybridization法を用い, 入力系の扁桃体, 梨状葉皮質, 海馬, 帯状回皮質および出力系の視床下部室傍核, 青斑核, 大縫線核, 中心灰白質の8部位で, 脳内c-fos mRNA発現を観察し, 陽性細胞数を計測した. また, 生体のストレス応答の観察には, 内分泌系のストレス応答の指標である血中コルチコステロン濃度を分析した.
結果: 干渉群は対照群と比較して, すべての脳内観察部位で観察期日を通して, c-fos mRNAの有意な発現増大を認めた. 入力系の脳部位では常時一定の発現を認め, 出力系の脳部位で経日的に減少を認めた. 血中コルチコステロン濃度は, 経日的に減少を認めた.
結論: 実験的咬合干渉が及ぼすストレスは身体および情動的要因をもったストレスで, この応答は, 干渉装置装着中は消失しないことが明らかとなった.

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