日本補綴歯科学会雑誌
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金銀パラジウム合金の変色に関する研究
第3報熱処理の影響
三浦 英司高山 慈子細井 紀雄
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2004 年 48 巻 2 号 p. 212-221

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抄録

目的: 日常臨床において, 金銀パラジウム合金による鋳造鉤の変色がしばしば観察される. 本研究は, 溶体化処理後, 急冷あるいは空冷を行った金銀パラジウム合金製鋳造鉤を用いた部分床義歯を患者に装着し, 変色の経時変化を測定し, 溶体化処理の効果について明らかにすることを目的としたものである.
方法: 装着中の義歯の鋳造鉤が, 高度の変色を示している10名を被験者として選択した. 12%金銀パラジウム合金を用いて, 1) 800℃1時間係留後水中で急冷, 2) 800℃1時間係留後, 室温で空冷, 3) 熱処理なし, の3条件の鋳造鉤を用いた部分床義歯を装着し, 装着時, 6ヵ月後, 1年後に鋳造鉤の輝度の測定を行った.
結果: 義歯装着時の鋳造鉤の平均輝度は, 3種とも1, 000cd/m2以上の高い平均輝度を示した. 6ヵ月後の鋳造鉤は, 各条件とも装着時の約1/5-1/8と急激な輝度の低下が認められた. 1年後ではさらに輝度は低下し, 装着時の約1/7-1/12となった. 6ヵ月, 1年後ともに急冷を行ったほうが熱処理なし, 空冷に比べ輝度が高く有意差が認められた.
結論: 熱処理の方法により鋳造鉤の輝度に有意差が認められたが, いずれも輝度は大幅に低下しており, 口腔内における金銀パラジウム合金の腐食性の高い患者では, 今回行った溶体化処理では耐変色性が十分でないことが示唆された.

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