48 巻 (2004) 2 号 p. 222-231
目的: オクルーザルスプリント (スプリント) の装着が咬筋の筋疲労過程に及ぼす影響を調べるため, 経頭蓋磁気刺激 (TMS) 法により咬筋から運動誘発電位 (MEPs) を導出し, その変化を分析した.
方法: 咬合挙上量の異なる2種類のスプリントの装着 (With Splint I: 前歯部で2mmの咬合挙上, With Splint II: 10mm), 非装着状態 (Without Splint) の3条件について比較した. 被験者は健常者10名 (男性7名, 女性3名, 平均年齢25.7±1.5歳) で, かみしめ強度は, 咬筋の筋電図積分値よりWithout Splintでの50%MVCに統一し, 被験者に限界まで持続的かみしめを行わせ, その疲労過程におけるMEPsの潜時および振幅について変化を比較分析した.
結果: MEPs潜時には変化はみられなかった. 振幅ではWithout Splintで疲労によりC (Cortex)-MEPsがR (Root) MEPsよりも有意に大きな低下傾向を示したが, ほかの2条件では差を認めなかった, またR-MEPs, C-MEPsにおいてWith Splint IIがWithout Splintよりも有意に小さな低下傾向を示した.
結論: スプリントを装着することによって, 中枢における末梢からの反射性抑制性入力が減少されるとともに, 咬合挙上することによる中枢への興奮性入力が同時に作用することにより, 咬筋の疲労が抑制, されることが推察された.