50 巻 (2006) 2 号 p. 145-165
支台築造ポのストに歯質より大きな剛性をもつ材質を使用すると, 残存歯根の一部分に応力が集中し, 歯根破折を招きやすくなるとされる.臨床で散見される金属ポストを用いて築造された麦台歯の歯根破折の多くは縦破折であり, 抜歯に到る場合も多い.そのため歯冠部歯質が十分ある場合には, ポストを使用もない築造も近年提唱されている.そこで弾性係数が象牙質に近く, “しなり” がある特性から, レジン築造に併用されるポスト材料としてファイバーポストが注目を集めている.わが国でも最近厚生労働省の認可が下りたものの, 実験的研究や臨床報告も含めて情報が不足している.そこでファイバーポストに関し, In vitro研究につき破壊試験と有限要素解析の両面から, In vivoの観点から海外での臨床成績について文献的考察を行った.その結果, 実験的研究では, すべての築造方法で残存歯質に十分なフェルールが存在することが応力集中防止効果が高いこと, ファイバーポストは歯頸部付近に応力が集中しやすい築造法であることが明らかとなった.また臨床成績ではファイバーポストは破折, 脱離の観点から鋳造ポストや既製金属ポストより優れている可能性が示唆された.しかし, 現在までの臨床研究には問題点も残されており金属ポスト, ファイバーポストいずれが優れているかについて比較研究が望まれる.