日本補綴歯科学会雑誌
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オーバーデンチャー支台歯上の補強法に関する研究
長田 知子
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2006 年 50 巻 2 号 p. 191-199

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抄録

目的: レジン床および金属床オーバーデンチャーにおける義歯の補強法について検討する.
方法: レジン床義歯を想定した試料片は, 半円線とパラタルバー用線を補強線とし, それぞれ試料の咬合面側, 基底面側に設置し, 人工歯はレジン歯と硬質レジン歯の2種を用いた.金属床義歯を想定した試料片は, 従来のフレーム設計のスケルトン, 支台歯周囲を円柱状に覆うハウジング, ハウジング上部をプレートで覆うメタルバッキング, ハウジングとスケルトン間を支柱で連結した二重金属構造とした.アルミナサンドブラスト処理後プライマー処理し, 加熱重合レジンを重合後37℃ 水中に2週間浸漬し, クロスヘッドスピード20mm/min, 支点間距離50.0mmで曲げ試験を行い, 破折強度剛性を測定した.結果は一元配置分散分析/Tukey多重比較検定を用い, 危険率1%で統計処理を行った.
結果: レジン床では, 人工歯の相違による破折強度, 剛性に有意差は認められなかった.パラタルバー用線を埋入した試料は半円線, コントロールと比較して有意に大きな破折強度岡性を認め, 咬合面側に埋入したほうが高い値を示した.金属床の破折強度は金属構造, メタルバッキング, ハウジング, スケルトンの順に高い値を示した.
結論: レジン床オーバーデンチャーでは, パラタルバー用線の咬合面側への埋入, 金属床オーバーデンチャーでは, 二重金属構造の設計により強度の著しい向上が認められた.

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