日本補綴歯科学会雑誌
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マウスガード材料の衝撃吸収に関する研究
温度条件, ショア硬度が衝撃吸収に及ぼす影響
富田 貴志月村 直樹大野 繁梅川 義忠澤野 宗如藤本 俊輝高村 昌明馬嶋 藍子片倉 祐輔蔵田 明美大山 哲生石上 友彦
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2006 年 50 巻 2 号 p. 200-209

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抄録

目的: 温度変化に対するマウスガード材料の物理的性質の変化を考慮するため, 室温条件 (25℃) ならびに口腔内を想定した温度条件 (37℃) において, 現在市販されているMG材料とその他の弾性材料の, 衝撃吸収試験ならびにショア硬度測定を行った. さらに材料のショア硬度と衝撃吸収の関係について比較検討した.
方法: 衝撃吸収試験には自製落下衝撃試験装置を用い, 試料の厚さは3mmとした. 荷重条件は, ∅10mm (409), 15mm (1a79), 20mm (32.69) の3種の鉄球を高さ60cmから落下させ, 全材料間の衝撃吸収を最大衝撃力で比較した. ショア硬度はJIS規格に基づき測定した. 両試験ともに, 室温条件 (25℃) ならびに口腔内を想定した温度条件 (37℃) において行った.
結果: 温度条件の違いにより, 同一材料において異なる最大衝撃力を示した. 弾性変形の範囲内で吸収できる衝撃力の場合には, 最大衝撃力とショア硬度の問に強い相関が確認された. 口腔内を想定した37℃ の温度条件で, 今回用いた最大の荷重条件では, テッシュコンディショナーとFDソフトは現在市販されているMG材料に比べ, 高い衝撃吸収を示した.
結論: MG材料の温度特性や研究の際の温度条件に配慮する必要がある. 弾性変形による衝撃吸収を示す材料では, 最大衝撃力とショア硬度間の相関が明らかとなった.現在市販されているMG材料に比べ, 高い衝撃吸収を示す材料が存在した.

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