幼児の観察学習における代理性強化と言語化
ジャーナル
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1971 年
42 巻
1 号
p. 44-48
詳細
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発行日: 1971/04/10
受付日: 1971/02/12
J-STAGE公開日: 2010/07/16
受理日: -
早期公開日: -
改訂日: -
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訂正情報
訂正日: 2010/07/16
訂正理由: -
訂正箇所: 論文抄録
訂正内容: 訂正前 : 本研究の第1の目的は, モデルの行動を観察することが独自学習よりも観察者のその後の学習を促進するか否かを検討することである. 第2の目的は, 観察学習において代理性強化の効果があるかないかを検討することであり, その際言語化の役割を重視して, 観察条件だけではなくて, さらにモデルの反応と強化に対する観察者の言語化を実験操作的に取り扱った.
課題は明るさの二選択弁別学習であり, 被験者は5・6才の幼児男女計140名であった. 被験者はモデルの選択反応を観察する場合 (D) と観察しない場合 (ND), モデルが正の強化を受けるのを観察する場合 (R) と観察しない場合 (NR) の要因計画による群 (D-R, D-NR, ND-R) がつくられ, さらに各群はそれぞれ観察期間中モデルの行動を言語化する (モデル自身が述べたことを観察者が繰り返すこと) 群 (言) と言語化しない群 (非) とがつくられた (Table 1を参照のこと).
主要な結果は次の通りである.
1) D-R群 (言・非とも) とD-NR群 (言・非とも) とはほぼ同じ程度で最も学習がはやく, 次いでND-R群 (言・非とも), 最も学習のおそかったのはND-NR (統制) 群であった. このことから, モデルの行動を観察することにより観察者の学習が促進されることがわかった.
2) ND-R群 (非) は統制群より有意にはやく学習していることから, あながち代理性強化の効果を否定することはできないであろう.
3) 各観察条件とも, 言語化群と非言語化群の学習成績の間に有意差が見出されなかった. ただし, 統計的に有意ではないが, D-R, D-NR両群とも言語化群では類同条件の成績がよく, 非言語化群では逆行条件の成績がよいという傾向が見出された.
4) 第1試行と第2試行の反応推移過程では, 正→正, 誤→正はD-R群に最も多く, 次いでD-NR, ND-R, 統制群の順である. この場合, 正→正は言語化群の類同条件に多く, 逆に誤→正は言語化群の逆行条件に多いという傾向が見出された.
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