2021 年 24 巻 1 号 p. 46-52
2 つの課題を同時に行うと課題成績は低下する。二重課題干渉と呼ばれるこの現象は,転倒の一因にもなっており,我々理学療法士にとって解決すべき問題の1 つである。二重課題干渉の発生を抑える方法としてこれまで,二重課題を反復する「二重課題トレーニング」が一般的に用いられてきた。しかし,この方法では,反復した二重課題以外で二重課題干渉の抑制効果を生じにくいことも示唆されており,使用には注意を要する。本稿では二重課題トレーニングが抱える問題点を踏まえたうえで,二重課題トレーニングの効果的な実施方法を検討する。さらに,二重課題干渉を抑制する新たな方法として「経頭蓋直流電気刺激」と「特定の認知課題を反復する方法」を紹介し,これらの方法の可能性について言及する。