2025 年 28 巻 1 号 p. 12-22
本研究の目的は,内側広筋(以下,VM)と外側広筋(以下,VL)における運動単位の活動パターンが,性別で異なるか検証することとした。17名の若年健常者(男性9名,女性8名)に対して,等尺性最大膝伸展筋力の60%を目標とした台形収縮課題を実施した。課題中のVMとVLから得られた筋電図波形を,個々の運動単位由来の活動電位に分解し,活動電位振幅(以下,MUAPAMP)と発火頻度(以下,MFR)を求めた。また,膝伸展トルクデータから各運動単位の動員閾値(以下,RT)を求めた。MUAPAMPは,4つの各電極から,整流化されたテンプレート波形の最大振幅を平均した値を使用した。MFRは台形収縮課題中のプラトー期間前半1/4(5.0秒)における発火間隔の逆数を用いた。運動単位の活動パターンは,縦軸にMUAPAMPまたはMFR,横軸にRTを被験者ごとに散布して得られた回帰直線の傾きと切片で示した。MUAPAMP-RTの切片の値は,女性よりも男性,VMよりもVLで高く,性別要因と筋別要因で有意な主効果を示した。MUAPAMP-RTの傾きは,女性よりも男性で急であり,性別要因で有意な主効果と大の効果量を示した。MFR-RTの切片は,男性よりも女性,VLよりもVMで高く,性別要因と筋別要因で有意な主効果を示した。MFR-RTの傾きは,男性ではVM,女性ではVLで緩やかな傾向にあり,性別で異なるVMとVLの運動単位の活動パターンを示し,性別要因と筋別要因による有意な交互作用を示した。これらの結果は,若年健常者における健全な運動単位の活動パターンを示すとともに,病態特異的な運動単位の活動パターンの違いについて把握するには,性別や個々の筋の違いに考慮する必要があることを示唆するものである。