日本赤十字看護学会誌
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精神科慢性期病棟での患者とのかかわりにおける看護師の体験
藤本 法子
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2023 年 24 巻 1 号 p. 151-158

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抄録

【目的と方法】精神科慢性期病棟で働く看護師が患者とかかわる中でどのような体験をしているのかを明らかにし,その意味について考察することを目的に,精神科慢性期病棟で通算5年以上の勤務経験があり,精神科慢性期病棟に勤務している看護師3名に,半構成的インタビューを実施した.

【結果】看護師は,入院が長期化した患者の変化が見えにくく,退院支援が容易ではないという,ケアの厳しい現実に直面していた.一方で,患者の生活空間にともにいて,時間をかけてかかわり続けることで,患者の新たな一面に気づき,患者のもつ力を信じられるようになるという体験をしていた.

【考察】精神科慢性期病棟では,往々にして日々の患者とのかかわりに価値が見出しにくいが,患者との疑似家族のような関係性の背景と意味,さらに時間をかけてかかわるケアの可能性について検討した.

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© 2023 日本赤十字看護学会
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