蘇生
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症例
気管切開施行時に頸部伸展により高度徐脈を認めた中咽頭癌患者の症例
古谷 明子飯田 靖彦脊戸山 景子平田 孝夫松本 美志也
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2013 年 32 巻 1 号 p. 20-22

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抄録

 糖尿病と高血圧の既往があり,中咽頭癌に対して治療を行っていた53歳の女性が,呼吸困難を訴えたために緊急で全身麻酔下に気管切開を行った。プロポフォールとフェンタニルで麻酔を導入し,気管支ファイバーを用いて気管挿管を行った。手術のために頸部を伸展し頭部後屈位としたところ,高度徐脈を認めたために,直ちに胸骨圧迫を開始しアトロピンを静注した。心拍数はすぐに正常化し,麻酔終了まで徐脈を認めなかった。高度徐脈の原因としては,既往の糖尿病による自律神経障害や麻酔薬の影響も考えられるが,頸動脈周囲に浸潤した腫瘍が,頸部伸展を契機にして頸動脈洞症候群による迷走神経反射を誘発したことが主な原因と思われた。

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© 2013 日本蘇生学会
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