抄録
症例は64歳の女性。下顎歯肉癌の診断で全身麻酔下に根治術が予定された。麻酔はセボフルラン-酸素-亜酸化窒素,レミフェンタニルで維持した。頸部郭清術開始前に1/10万エピネフリン含有1%リドカインで浸潤麻酔を行ったところ血圧が107/51 mmHgから249/145 mmHgに上昇した。ニカルジピンを投与し降圧後,高血圧による脳血管障害がないことを確認するため覚醒させることにした。BISモニターを装着し,レミフェンタニルのみの麻酔とし覚醒させ,指示に従って四肢を動かすことができることを確認した後,手術を再開した。術後後遺症はなかった。