蘇生
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レポート
クアドラライト麻酔用マスクの使用経験
西山 友貴
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37 巻 (2018) 1 号 p. 19-20

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抄録

麻酔導入時や緊急気道確保時にはマスクで用手換気する必要があるが,患者が義歯を外した場合や,患者の顔の形状1)によっては,漏れが生じて換気困難となる場合がある。特に顔面の手術後の場合は換気困難となりやすい2)。さらに患者の体格によってマスクのサイズを使い分けなければならない。近年,麻酔用マスクはクッション部分に空気を注入して顔面に密着させる形状のものが主流となっている。これらはクッション部分の材質,形状などが異なり密着性に差がある3, 4, 5)。Nandalanら3)は歴史が長い再利用可能な黒いゴム製の空気注入クッション部分を有するマスク(従来のゴム製マスク)がクッション部分にポリ塩化ビニルなどを使用した使い捨てマスクより漏れが少なく換気しやすいと報告している。一方,使い捨てのマスク,再利用可能なマスク4種類の間でインターサージカル社製使い捨てマスクが最も漏れが少ないという報告もある4)。Ballら5)も従来のゴム製マスクよりインターサージカル社製使い捨てマスクで漏れが少ない結果を得ている。今回,クッション部分を空気注入するカフ状から空気を入れない一枚ものの形状にしたマスク(クアドラライト麻酔用マスクTM,インターサージカル社,英国,図1)を使用する機会を得た。これは以前用いていた黒いゴム製の硬いクッション部分を有するマスクに近い形状であるが,このクッション部分にI-gelTMの先端部分と同じ熱可塑性エラストマーを用いている。クアドラライト麻酔用マスクTMは他のマスク同様1(最小)から4(最大)まで4サイズあり,今回,サイズ3(幅約108mm,縦約81mm,高さ約70mm)のマスクを2017年3月1日から5月31日まで著者自身が行った全身麻酔症例全症例に連続使用した。すべて整形外科症例で,年齢平均71歳(範囲15歳-89歳),男21例,女45例の計66例,身長156cm(134cm-182cm),体重58歳(37.4kg-89kg),Body Mass Indexは24.1 kg・m-2(15.9kg・m-2-42.7kg・m-2),総義歯15例(全例術前に取り外し),部分入義歯24例(2例以外は術前に取り外し),義歯なし27例であった。マスクは市販品であり,介入研究は行っておらず,当院倫理委員会の承認を得ており,患者のデータ使用に関する承諾は麻酔の承諾時に得ている。今回の連続した66例すべて酸素6L/分で換気を行ったが,漏れ(マスクと顔の間からの漏れ,バックのふくらみの減少)によりマスク換気が困難であった症例は1例もなく,すべてサイズ3のマスクで顔面の形によく合い換気は容易だった。従来のクッションに空気注入するタイプのマスクでは多くが女性にサイズ3,男性にサイズ4を用い,さらに漏れが生じて換気困難になる症例を経験していた。今回用いたクアドラライト麻酔用マスクTMではサイズ3のみで漏れを生じず,女性,男性を含め幅広い患者に適応できると考えられた。このため,特に緊急時の気道確保で,患者によってマスクを選択する時間が省け,とりあえずサイズ3のマスクを用意しておけば幅広い症例に緊急対応可能となるので有用と考えられた。従来の黒いゴム製の硬いクッション部分を有するマスクはクッション部分が硬く顔面の形状に合わないことも多かった。クアドラライト麻酔用マスクTMは形状がそのマスクに似ていることから敬遠されがちであるが,クッション部分の材質が熱可塑性エラストマーであるために,顔面の形に合いやすい。今回の使用経験から,クアドラライト麻酔用マスクは麻酔導入時の換気,緊急時の気道確保時に,1サイズのマスクで幅広い症例に対応でき,漏れを生じることが少なく,有用である可能性が考えられた。

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© 2018 日本蘇生学会
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