蘇生
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大阪医科大学麻酔科学教室と茨木市消防本部救急救助課からの指導救命士の養成に関する提案
駒澤 伸泰三原 良介小倉 勝男大川 浩一南 敏明
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2018 年 37 巻 1 号 p. 21-22

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抄録

病院外心肺停止に対する気管挿管は,酸素化や肺保護の観点から重要な救命行為である。2003年から,麻酔科専門医の指導下で,認定救急救命士養成目的の手術室気管挿管実習が開始され1),気管挿管認定を受けた救急救命士の数は漸増している。しかし,救急現場における心停止患者に対して,救急救命士が気管挿管を行う機会は少なく,2016年度,茨木市消防本部では,44名の気管挿管認定救急救命士で,救急現場における気管挿管の実施数は49例であり,1名当たり,1-2回の実施となっている。また,救急現場での気管挿管は,手術室実習の環境とは大きく異なる。多くの場合,床上で気管挿管を行う必要がある。気管挿管を行う環境も直射日光下や暗闇である場合も多い。さらに,傷病者の大半は嘔吐物等により,喉頭展開・声門視認が困難な可能性がある2)。すなわち,救急現場で十分に対応できるスキル維持のためには,手術室での気管挿管実習に加えて,より一層の技術を向上させるための制度作りが必要である。我々は,臨床現場に近い気道管理困難環境に対応できる指導救命士の養成のために,シミュレーションを用いた実習が有効と考えている。床上での気管挿管を基本として,直射日光下や暗闇などの条件下で,シミュレーターを活用した実習は,病院前での気道管理困難への対応を学ぶことができる(図a, b)。さらに,人工嘔吐物などを用いた嘔吐物下の気管挿管シミュレーション3)により,吸引の迅速な使用や喉頭展開・声門視認のスキルに有効な可能性がある。現時点で,救急救命士による気管挿管による救命率向上は実証されていない。しかし,救急救命士による気管挿管は,本邦の救急対応システムの中で,必須である。現在,各地域メディカルコントロールにおいて,指導救命士養成のためのプログラムが検討されている。救急現場での気管挿管経験の少ない救急救命士再教育は大きな課題である。この現状の中で,指導救命士が,より救急現場の状況に即した救急救命士再教育を行うことは,救命率向上に寄与する可能性がある。

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© 2018 日本蘇生学会
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