蘇生
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総説
病院前救護における蘇生中止の法と倫理~死の多重基準の意義
丸川 征四郎
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2018 年 37 巻 2 号 p. 60-65

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抄録

 119番通報があって現場に出場した救急隊が,傷病者の家族等から傷病者の意思としてDNAR指示が提示される事案が増加している。日本臨床救急医学会は,この傷病者の意思を救急現場でも容認するための具体的なシステムを,我が国で初めて提言した。しかし,現行の消防法など関連法令と整合するのか,胸骨圧迫を行わずに傷病者を医療機関へ搬送することは倫理的に容認されるのか,など根本的な問題が指摘されている。

 本論では,法的整合性は現行法の拡大解釈で説明可能であり,救命処置をせずに搬送することは,死の多重基準と言う新しい概念を導入することで説明可能であることを論じる。

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© 2018 日本蘇生学会
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