2020 年 39 巻 2 号 p. 69-72
若年者の突然死は,肥大型心筋症や冠動脈奇形,心筋炎などを基礎に持つ人のスポーツ中に多いとされている。ところが,1980年代の北米において,心臓病がない健康な子どもが,胸に比較的軽い鈍的外力を受けた直後に突然死する事例が続けて報告された。1995年,Maronら1)はこういった事例を心臓震盪として報告した。本邦においては,2002年に堀2)がスポーツ中の突然死として心臓震盪を紹介し,著者3)4)は国内例をまとめて報告している。ここでは,本邦における発症状況を北米例と比較して提示し,発症のメカニズム,予後について文献的考察を含め示す。尚,ここで示す本邦での1997年から2019年における49例のデータは,著者自身の症例に加え,救急隊員,学会報告,文献などから得た情報をもとにしたデータであり,著者が把握できていない症例もあることをご理解いただきたい。