2025 年 44 巻 1 号 p. 13-17
症例は70歳台の男性で,肺Mycobacterium avium complex(MAC)症による空洞性病変を伴う肺炎のため人工呼吸管理を要した。第5病日に,従圧式換気中に吸気圧設定を上昇させ,体位変換を行った直後に突然,無脈性電気活動となった。心停止の原因は不明のまま34分後に死亡した。死亡時画像診断全身CT検査を行い,広範な空気塞栓症が明らかになった。本症例では肺空洞病変が空気の流入源となり,陽圧換気に起因して多量の空気が肺静脈に流入したと考えられた。肺空洞病変を有する症例に陽圧換気を行う際は,過剰な鎮静によるリスクを考慮しつつ,気道内圧上昇を防ぐ工夫が求められる。