蘇生
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K+チャネル開口薬の脳組織酸素飽和度および頭蓋内血液量指数に及す影響
―若年者群と高齢者群の比較―
粕谷 由子土肥 修司
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1998 年 17 巻 1 号 p. 37-40

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抄録

ATP感受性K+チャネル開口薬は, 脳血管とくに動脈血管を拡張させることが実験的にも臨床的にも示されている。今回, ニコランジルの脳組織酸素飽和度と頭蓋内血液量指数への作用を, 加齢の影響も考慮して検討した。対象は, アメリカ麻酔学会による全身状態の分類I~IIの予定手術患者12名を若年者群と高齢者群の各6名に分け, ニコランジルを0.08mg・kg-1・h-1から開始し, 0.4mg・kg-1・h-1まで投与した。脳組織酸素飽和度は両群で用量依存的に増加した。頭蓋内血液量指数は若年者群では増加したが, 高齢者群での増加はみられなかった。若年者群に比較して高齢者群ではニコランジルのATP感受性K+チャネルを介した血管拡張作用が減じていることが示唆された。

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