Hurler-Scheie症候群 (H-S症候群) の30歳女性が心不全による呼吸困難を来した。種々の治療でも呼吸困難は改善されず, 翌朝, 気管内挿管を試みたが挿管困難のため麻酔科に依頼された。喉頭展開でCormack分類グレードIIIであったため, 手術室に搬送した。耳鼻科医による気管切開は短頸のため困難を極めた。気管切開後, カニューレが気管後壁にあたり挿入できず, 内径5mmのラセンチューブを挿入した。
2日後パイプ部分の短い気管切開チューブに入れ替えた。H-S症候群の気道確保は緊急対応では安全に施行するのは困難で, 弁膜症が悪化し呼吸困難が出現するようになれば, 家族の了解のもとに気管切開を施行すべきである。