蘇生
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上腹部手術中に原因不明の高カリウム血症により心停止となり蘇生しえなかった1例
小倉 明今永 和幸吉河 達〓輪嶋 善一郎益田 律子井上 哲夫
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2000 年 19 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

胃全摘術中に高カリウム血症により心停止が出現した1症例を経験した。麻酔は硬膜外麻酔に静脈麻酔を併用して行った。術中に心電図上QRS幅が増大し, Kは7.OmEq/1であった。CaCl2投与直後に高度の徐脈が出現し心肺蘇生を開始した。しかし心室細動となり, 除細動も無効で心静止となった。開胸心マッサージを施行して, グルコース・インスリン療法, 胃管からポリスチレンスルホン酸ナトリウム (ケイキサレート) 投与を行い, 心室ペーシングを試みたが無効で蘇生できなかった。術前にALT, ASTの上昇と24時間クレアチニンクリアランス低下を認め, 肝腎障害が疑われたが, 高カリウム血症の原因とは断定できない。剖検を行ったが心肺蘇生に反応しない心停止の原因は不明であった。

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