蘇生
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局所脳静脈梗塞における脳血管の二酸化炭素反応性と組織変化
孫 弘樹小谷 順一郎
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2003 年 22 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

脳皮質静脈梗塞における脳血管反応性と脳組織の器質的変化を知る目的で, 家兎の局所脳静脈梗塞モデルを用いて, 急性期の当該静脈還流領域における脳血管の二酸化炭素 (CO2) 反応性と脳浮腫発現を検討した。さらに亜急性期における血液・脳関門 (BBB) の破綻状況と, 組織学的所見を検討した。その結果, 静脈閉塞1時間後には脳血管のCO2反応性は減少した。また, 3時間後の梗塞領域大脳皮質の組織比重は低値を示し脳浮腫発現が示唆された。5日後の亜急性期では, cortex optics領域に限局した出血性変化とエバンスブルーの血管外漏出が認められ, BBBの破綻が推定された。組織学的にも顕著な出血性梗塞が認められた。以上より, 脳静脈梗塞においては, 急性期に脳血流量の減少が認められない部位であっても広範な障害に進展する可能性があることが示唆された。

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