2003 年 22 巻 2 号 p. 122-124
84歳女性が大腿骨頸部骨折に対し脊椎麻酔, プロポフォール鎮静下の人工骨頭置換術中に右脚ブロック, 心室性期外収縮 (PVC) , 血圧低下をきたし心停止に至った。蘇生法を施行し, 約5分後に心拍は再開したが, 自発呼吸はみられなかった。手術を完了し, 集中治療室では肺酸素化能の低下, 心エコー図上の右室拡大, D-dimer上昇等によって肺塞栓と診断し, ヘパリン持続投与を開始した。ICU入室4日目に人工呼吸器から離脱し, 神経学的後遺症を残さずに一般病棟へ退室となった。肺塞栓症により心停止に至った場合, 高齢者であっても積極的な蘇生法の施行により, 良好な予後を期待しうると考えられた。