日本鼻科学会会誌
Online ISSN : 1883-7077
Print ISSN : 0910-9153
ISSN-L : 0910-9153
原著
好酸球性副鼻腔炎に対するステロイド局所療法に関する検討
— 気管支喘息合併の有無を中心に —
竹田 和正竹野 幸夫西 康行石野 岳志平川 勝洋
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 50 巻 4 号 p. 437-444

詳細
抄録

対象: 対象は2004年10月から2006年9月までに, 当科で上記治療を行った20症例を対象とし, 好酸球性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術後のプロピオン酸ベクロメタゾン (BDP) 高用量鼻腔内投与療法の効果を検討した。治療効果は副鼻腔粘膜の内視鏡所見とCT所見をスコア化して検討した。また, 採取した粘膜に対してグルココルチコイドレセプター (GR) のアイソフォームであるGRαとGRβの定性的観察を行った。
結果: 症例全体 (20症例, 39側) では, 術後の粘膜病変の内視鏡所見は, 喘息合併群では非合併群に比較して, 有意に不良であった。続いて全副鼻腔の粘膜病変のCT所見は, 症例全体ではCTスコアの平均は9.4から3.2と有意な改善を認め, 術後のCTスコアの合計は喘息合併群において平均値が3.9, 非合併群では2.1で, 有意に喘息合併群が不良であった。また, 粘膜の免疫染色では, 篩骨洞粘膜の炎症細胞にGRβの発現が強い傾向が見られた。
まとめ: 以上の結果より, 好酸球性副鼻腔炎の内視鏡下副鼻腔手術後のBDP高用量鼻腔内投与療法は, 有用な治療法であることがわかった。気管支喘息合併群は非合併群に比べ有意に治療効果が不良であり, なんらかの追加治療が必要であると考えられた。

著者関連情報
© 2011 日本鼻科学会
次の記事
feedback
Top