2011 年 50 巻 4 号 p. 445-450
軟骨肉腫は頭頸部に発生することは非常に珍しく, 全軟骨肉腫に占める頭頸部の軟骨肉腫は10%である。我々は鼻中隔に発生した軟骨肉腫の1例を経験した。症例は71歳女性で, 主訴は右鼻閉であった。近医で生検を行われ, 病理標本の診断結果はGrade Iの軟骨肉腫であった。CT像では, 鼻中隔後方正中に一部石灰化を伴う4cm大の腫瘍が存在した。腫瘍は蝶形骨洞前壁・下壁に浸潤していたが, 頭蓋内浸潤を認めなかったために内視鏡下に腫瘍切除を行った。現在術後2年が経過するが, 再発は認めない。組織学的にgradeが低く, 頭蓋底あるいは頭蓋内への浸潤のない軟骨肉腫に対しては, 内視鏡下切除は良い適応であると考えられる。